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技術資料
No.T1603 | 2016.10.21

有機酸の分析 -IC-MSによる定性-

概要

 有機酸は、食品分野では酸味付けやpH調整、工業分野ではウレタン触媒やエポキシ樹脂硬化剤等の用途に用いられる有機化合物です。有機酸にはクエン酸、リンゴ酸、グルコン酸等の種類があり、それらの種類及び量を把握することは材料開発、品質管理等の観点から重要です。水中で解離し陰イオンとなる有機酸の分析には、イオン性化合物を分離して定性定量が可能なイオンクロマトグラフィー(IC)が適しています。今回、ICに質量分析計(MS)を接続し、得られた質量から有機酸の構造を推定した例を紹介します。

分析事例の紹介

1.IC-MSによるピーク定性

 IC-MSにより、不明な有機酸(ピーク①)が質量196のグルコン酸と推定されました。

図1 試料のICクロマトグラムとマススペクトル

2.標準添加によるピーク成分の確認

 試料に標準試料(グルコン酸カリウム)を添加してIC測定したところ、ピーク①と同一ピークとして検出され、同一成分であると確認できました。
ピーク①+グルコン酸カリウム

図2 試料+グルコン酸カリウムのICクロマトグラム

 IC及びIC-MSは、有機酸以外にもアミン、ハロ酢酸、過塩素酸、臭素酸等の分析に適用可能です。

適用分野
プラスチック・ゴム、その他有機製品、医薬品・化粧品・農薬、食料品・飲料・飼料・食品包装材
キーワード
有機酸、IC-MS、イオンクロマトグラフ、質量分析

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