概要
弊社では、加熱IR測定用温調セルを3種類所有しております。温調セルを試料形態や測定の目的に合わせて使い分けることで、ご依頼試料に最も適した条件で加熱IR測定を実施いたします。本技術資料では、弊社が所有するIR測定用温調セルについて御紹介します。
分析方法・分析装置
1)温調セル紹介
 ・【表1】に弊社が所有する赤外分光測定装置の温調セルの一覧を示します。
 ・試料形態や測定の目的に合わせて、最適な温調セルをご提案させて頂きます。
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 温調 セル名称  | 
 ATR型 温調セル  | 
 拡散反射型 温調セル  | 
 透過型 温調セル  | 
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 写真  | 
 
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 対象材料  | 
 高分子成形体 フィルムなど  | 
 無機粉末材料 (ゼオライトなど)  | 
 無機粉末  | 
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 温調範囲  | 
 室温~350℃  | 
 室温~900℃  | 
 室温~800℃  | 
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 雰囲気  | 
 N2、airなど  | 
 真空下、N2、airなど  | 
 真空下、N2、air 各種吸着ガス (ピリジン等)  | 
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 特徴  | 
 高分子材料(成形体)の 解析に有用  | 
 粉末試料表面の 官能基情報を 高感度に取得可能  | 
 吸着ガスを用いた 酸点解析が可能  | 
結果
1)ATR型温調セル
- ポリエチレンフィルムを50℃から、160℃まで昇温し、10℃刻みでIRスペクトルを取得しました【図1】。
 - 120℃付近でPE結晶の融解に伴うIRスペクトルの変化が観測されました。
 - このように、ATR型温調セルは高分子材料の結晶性の変化や、酸化劣化挙動の解析に有用です。
 

2)拡散反射型温調セル
- シリカ粉末を真空下にて室温~500℃まで昇温し、100℃刻みでIRスペクトルを取得しました【図2】。
 - 昇温にともない、吸着水の脱離が進行し、シリカ表面のSiOH基の検出が可能となりました。
 - このように、拡散反射型温調セルは無機粉末試料の表面官能基の解析に適しています。
 

3)透過型温調セル
- ピリジンガス吸着法によりゼオライトの酸点を解析しました。
 - ゼオライトをセル内で熱真空乾燥し、吸着水を完全に除去しました。その後、ピリジンガスをセル内に導入し、ピリジンをゼオライトの酸点に吸着させました。
 - 【図3】にピリジン吸着後のゼオライトのIRスペクトルを示します。
 - ゼオライトの酸点に吸着したピリジンの吸収ピークから、ゼオライトに存在するB酸点とL酸点を区別して評価することが出来ました。
 - このように、透過型温調セルでは、吸着ガス(プローブ分子)導入により固体酸点の解析が可能です。
 


まとめ
弊社では、3種類の赤外分光測定用温調セルを使い分けることで、ご依頼試料に最も適した加熱IR測定条件をご提案させて頂きます。
適用分野
            プラスチック・ゴム、その他有機製品、セラミックス・ゼオライト
          キーワード
            ポリエチレン、高分子、ゼオライト、シリカ
          

