概要
ポリマーの分子量分布を測定できるGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー, SEC)法は、測定温度により主に3種類に分類されます。また、検出器にも様々な種類が存在し、得られる情報はそれぞれ異なります。
測定温度による装置分類
測定温度によるGPC装置の分類を表1に示します。ポリマーが溶解する溶媒種、温度条件に応じて3種類の装置を使い分けています。
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 測定温度範囲  | 
 主な使用溶媒  | 
 主な測定試料  | 
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 常温GPC  | 
 室温~80℃  | 
 THF, クロロホルム, 水 DMF, HFIP等  | 
 PVC,PMMA等  | 
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 高温GPC  | 
室温~180℃ | ODCB,TCB 等 | PE,PP等ポリオレフィン | 
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 超高温GPC  | 
室温~220℃ | 1-クロロナフタレン 等 | PPS等エンプラ | 
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検出器の種類
GPC測定で用いられる主な検出器と、それぞれの特徴を表2に示します。RIやUV検出器などに代表される、試料の濃度を測定する濃度検出器が一般的ですが、この他にも絶対分子量が得られるLSやMS、官能基情報が得られるFTIRなどをGPC装置に接続してポリマーの特性解析を行う事が可能です。
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 検出器  | 
 測定原理  | 
 得られる情報  | 
 長所と短所  | 
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 ① 示差屈折計 (RI)  | 
 溶媒と高分子との屈折率の差  | 
 濃度  | 
 ○最も一般的 ×安定性が低い  | 
|---|---|---|---|
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 ② 紫外吸収検出器(UV)  | 
 高分子の紫外吸収  | 
 濃度  | 
 ○高感度、高安定性 ×紫外吸収のない化合物は不可  | 
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 ③ 蒸発型光散乱検出器 (ELSD)  | 
 高分子からの散乱光強度  | 
 濃度  | 
 ○溶媒の種類に影響されない ×低沸点化合物は検出困難 ×応答が濃度に比例しない  | 
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 ④ 赤外分光光度計(FTIR)  | 
 高分子の赤外吸収  | 
 濃度 分子構造情報  | 
 ○官能基の定量が可能 ×溶媒による吸収のため 測定波数が限られる  | 
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 ⑤ 蒸発型赤外分光光度計 (FTIR)  | 
 高分子の赤外吸収  | 
 分子構造情報  | 
 ○溶媒の吸収に影響されない ×測定ノウハウが必要  | 
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 ⑥ 光散乱検出器 (LS)  | 
 高分子からの散乱光強度  | 
 絶対分子量 回転半径  | 
 ○絶対分子量が得られる ×低分子量は検出困難  | 
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 ⑦ 粘度検出器(VISCO)  | 
 溶媒と高分子溶液の圧力差  | 
 固有粘度 長鎖分岐度  | 
 ○長鎖分岐度が得られる ×別に濃度検出器が必要  | 
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 ⑧ 質量分析装置 (MS)  | 
 高分子の質量数の差  | 
 絶対分子量  | 
 ○絶対分子量が得られる ×装置が高価 ×高分子の種類、分子量範囲に制限  | 
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 ⑨ 核磁気共鳴装置 (NMR)  | 
 原子核の磁気的性質  | 
 分子構造情報  | 
 ○官能基別の情報が得られる ×装置、溶媒が高価 ×専用プローブが必要  | 
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