概要
軟X線を試料に照射し発生する光電子を検出して、束縛エネルギーと強度から構成元素及び化学状態を分析します。軟X線により励起された光電子の脱出深さは最表面から数nmのため、分析深さは極表面の数nmです。
特徴
(1)組成分析
・定性分析可能な元素Li~U(検出下限0.1atom%)
・定量下限1atom%
・測定領域 10~200μmφ
(2)化学状態分析
・化学結合状態の測定が可能
(3)マッピング分析
・面方向の組成/化学状態分析が可能
(4)深さ方向分析
・角度分解(試料を傾斜させて測定する方法)
・イオンエッチング法(Arイオン銃、GCIB※により無機物及び有機物の深さ方向分析が可能)
※GCIB:Gas Cluster Ion Beam
分析事例
(1)無機物の化学状態分析
単体のSi及びSiO2のSi2pスペクトルを図3に示します。単体及び酸化物では化学状態が異なるため、束縛エネルギーの異なる位置にピークが観測されます。このように、束縛エネルギーから化学状態を推定することが可能です。
(2)有機物の化学状態分析
ポリエチレンテレフタレート(PET、図4)のC1sスペクトルを図5に示します。PETの場合、3種類の化学状態に対応する3つのピークが観測されます。
キーワード
シリコン、シリコン酸化物、Si、SiO2、ポリエチレンテレフタレート、PET