概要
核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance:NMR)法は、分子構造や分子間相互作用、分子の運動状態などを調べる手法で、高分子化学、生物化学、医学等の広範囲な分野で活用されています。
一般的にNMRは測定感度が低く、天然存在比の小さい13C NMRでは微小ピークの解析が難しいことがありました。そこで、弊社では高感度な700MHz NMR用5mmCryoプローブを導入しました。本プローブは従来の10mmプローブに比べ13C感度が3倍高く、700MHzの高分解を活かしたより詳細な解析が可能となります。
装置仕様
分析対象 | 高分子、有機化合物(溶液) |
核種 | ①13C、②1H/19F (2重共鳴) |
プローブ径 | 5mm |
測定温度 | -40~150℃ |
特長 | 検出コイルやチューニング回路等を液体ヘリウムで冷却、熱ノイズを低減し スペクトルを高感度化 |
分析事例
本装置(5mmCryoプローブ)と従来装置(10mmプローブ)の無水マレイン酸(MA)グラフトポリエチレン(MA-g-PE)の13C NMR測定結果を示します【図1】。5mmCryoプローブは10mmプローブに比べてS/Nの高いスペクトルを取得でき、PEの分岐構造に加えて微量のグラフト構造まで検出可能でした(【図1】拡大図中の矢印)。グラフト構造の量を主鎖メチレン炭素1000個あたりとして算出すると、0.1~0.2/1000Cの微量構造が複数存在することが分かりました。
適用分野
高分子材料、有機材料
キーワード
溶液NMR、高磁場NMR、分子構造解析