概要
LC-MSはHPLCで分離した成分の定性のみならず、高感度定量に用いられます。今回、測定質量範囲や定量のダイナミックレンジが広い四重極型質量分析計(LC-QMS)を導入しましたので概要をご紹介します。
原理・手順
LC-QMSの外観を図1に、装置構成と測定の流れを図2及び下記に示します。
① HPLCにより成分を分離、UV検出
② MS検出(スキャン測定 or SIM測定 /図3参照)
スキャン測定 :四本の電極(四重極)の電圧を走査し、マススペクトルを得る測定法
(定量も可能だが、主に定性用)
SIM測定 :Selected Ion Monitoring(選択イオンモニタリング)測定
四重極の電圧を固定し、目的イオンのみ高感度に検出する方法(定量用)
試料
- 装置 LCMS-2050(島津製作所)
- 測定質量範囲 m/z 2~2,000
- ダイナミックレンジ 3桁程度
- イオン化 デュアルイオンソース(ESI+APCI)
- ポジネガ同時測定 可
アプリケーション
1)メチレンジアニリン(MDA)の測定(スキャン測定)
MDA(10μg/mL)のトータルイオンクロマトグラムを図4に、10.1分のマススペクトルを図5に、16.5分のマススペクトルを図6に示します。スキャン測定ではマススペクトルが得られますので、ピーク定性に有効です。
2)メチレンジアニリン(MDA)の測定(SIM測定)
MDA(0.01μg/mL)のm/z 199におけるSIMクロマトグラムを図7に、感度比較用としてMDA(0.01μg/mL)のトータルイオンクロマトグラム(スキャン測定)を図8に、SIM測定による検量線を図9に示します。SIMではクロマトグラムのS/Nが改善し百倍程度感度が向上します。定量のターゲット化合物が決まっている場合、SIMによる高感度定量が有効です。
適用分野
その他有機製品、医薬品・化粧品・農薬
キーワード
HPLC、LC-MS、QMS、高感度定量