概要
食品包装、センサー被覆から住宅の防湿層など幅広い分野で透湿度の低い材料が用いられています。
透湿度の評価手法にはJIS Z0208(カップ法)とJIS K7129(センサー法)が規定されています。
カップ法は歴史が長く、透湿度評価の基準として用いられています。しかし、透湿度が極端に低い、または高い試料の評価が難しいという欠点があり、センサー法が規格化されるに至っています。
本技術紹介では、感湿センサー法をもちいて、透湿度への試料厚みの影響について検討した測定事例をご紹介します。従来のカップ法では対応しにくい低透湿度から高透湿度までセンサー法で容易に測定できます。
分析事例の紹介
測定原理を図1に示しました。感湿センサー法では、試料の片側を飽和水蒸気で満たし、感湿センサー側の湿度上昇速度から透湿度を評価します。
厚みを変えた各種ポリエチレンシートの透湿度測定結果を図2に示しました。厚みに対する依存性を見やすくするため、縦軸に透湿度、横軸に試料厚みをとり、両対数プロットをしました。透湿度が0.1g/m2・24h以下の領域から20g/m2・24hを超える領域まで、幅広い範囲の透湿度が測定できています。
プロットの傾きは、測定範囲内でほぼ-1となり、試料厚みに対して反比例していることが分かります。今回の結果からポリエチレンの種類のよらず、透湿度はシート厚みにほぼ反比例することが分かりました。
適用分野
プラスチック・ゴム、フラットパネルディスプレイ、食品包装材
キーワード
ポリエチレン、PE、高密度、低密度、直鎖状短鎖分岐