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技術資料
No.T1015 | 2013.10.01

複合部材のガラス転移温度評価 粘弾性による方法

概要

ガラス転移温度はプラスチックの重要な熱特性の一つです。ガラス転移温度を境にガラス状からゴム状に変化することから、耐熱性や耐寒性の指標とされます。また、プラスチックの種類によって異なるため、組成分析の手段として用いられたりします。
ガラス転移温度を評価する一般的な方法として熱分析がありますが、プラスチックの種類によっては熱分析では捉えることが出来ない、ブレンド物の分散相のガラス転移温度は評価しにくい、といった面があります。
そのような場合は固体粘弾性によるガラス転移温度評価が有効です。熱分析に比べ必要試料量が多い、成形を要するなどの欠点はありますが、場合によっては熱分析よりも高感度で分析することが出来ます。但し、両手法で評価したガラス転移温度は必ずしも同じ値にならない事に注意が必要です。

分析事例の紹介

図1はプラスチックの熱分析結果の一例です。80℃近辺に融解による吸熱ピークが現れていますが、ガラス転移温度に起因する信号は検出できていません。
図2は同じ試料の固体粘弾性測定結果です。80℃近辺に融解によるものと考えられる弾性率の低下が見られます。合わせて、0℃付近にガラス転移による損失弾性率(E” )、損失正接(tanδ)の極大が観察されます。
このように固体粘弾性を併用することで、幅広い材料についてガラス転移温度を評価することが出来ます。

適用分野
プラスチック・ゴム、食品包装材
キーワード
ポリエステル、フィルム、光学フィルム、シュリンクフィルム

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