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技術資料
No.T1117 | 2011.11.11

プラスチックの紡糸性溶融張力の評価(1)

概要

溶融張力とは、加熱・溶融した樹脂を引張った際に発生する張力です。MFR(メルトフローレート)が粘性の指標であるのに対し、弾性の指標として、紡糸性、ブロー成形性などの成形加工性の一次評価として用いられます。本資料では、溶融張力について紹介します。

溶融張力の紹介


図1. 溶融張力の測定装置

図1に測定装置の概略図を示しました。一定流量で押出された樹脂は滑車を介して引き取られます。樹脂に生じた張力(A)は滑車1を持ち上げるように働き、この力を溶融張力としてロードセルで計測します(Bの半分の値)。ダイ出口には、必要に応じて温調が可能なチャンバーを取り付けることもできます。

溶融張力は、自由表面を持ちつつ変形するような成形加工、例えばブロー、インフレ、発泡、キャスト、紡糸成形などの、成形性の指標として用いられます。
溶融張力が低いと、インフレ成形では樹脂が垂れやすくなりドローダウン性が悪くなる、発泡では破泡しやすくなるなど、加工性が悪くなります
逆に、溶融張力が高すぎると、高速成形の際に破断しやすくなります。

一般的に、直鎖状高分子の場合は、分子量が高いほど、粘性、弾性ともに大きくなります。分岐高分子の場合は、同じ粘性の直鎖状高分子に比べて弾性が大きくなる傾向があります。
したがって、溶融張力を大きくするためには、長鎖分岐構造や超高分子量成分の添加が有効だといわれています。 

次回以降に、溶融張力の測定事例について紹介します。

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