概要
ESCA(XPS)に搭載されているイオン銃を利用して無機材料表面の汚染物質クリーニングが可能です。従来のArモノマーイオン銃では、還元されやすい材料(TiO2など)に照射するとTiの化学状態(価数)が変化してしまう問題がありました。Arガスクラスターイオン銃(GCIB)を利用すると材料の化学状態変化を抑制した表面クリーニングが可能です。
分析事例
(1)ArモノマーイオンによるTiO2表面クリーニング
Arイオン照射前後における単結晶TiO2表面のC1s、Ti2pスペクトルを示します(図1)。5min照射後、表面汚染由来のC1sピークの消失を確認できました。ただし、Tiの価数変化が観測されました。Arイオン照射によるTiの還元が起きて、正しい評価が難しいと考えられます。
(2)GCIBによるTiO2表面クリーニング
GCIBを使用した場合も同様に、5min照射後にC1sピークの消失を確認できました。さらに、照射前後においてTiスペクトルの形状が大きく変化しておらず(図2)、Tiの価数変化を抑制した表面クリーニングが可能です。
適用分野
その他無機製品、フラットパネルディスプレイ、電池・半導体材料
キーワード
TiO2、二酸化チタン、チタニア