概要
プラスチックのガス透過性や水蒸気透過性は、使用環境で異なります。ここでは、PETフィルムを取り上げ、水蒸気透過度(透湿度)に与える温度の影響について紹介します。
分析事例の紹介
図1に示すようなGC法水蒸気透過試験装置を用い、市販のPETフィルムを評価しました。本装置は、室温から150℃まで温度制御でき、ガスや水蒸気だけでなく、液体の透過性を評価することも可能です。
図2に、温度を変えた時の透湿度を縦軸に、相対湿度を横軸にプロットしました。同じ相対湿度でも高温ほど透湿度が高くなります。この現象は次の二つの要因が重なり合って生じています。
- 相対湿度が同じでも高温ほど水蒸気圧が高い。
- PETフィルムが熱膨張し、水蒸気ガスを透過しやすくなる。
図3に図2のデータを水蒸気圧に対してプロットしなおしました。図2に比べると、ほぼ一列に並び、整理できているように見えます。しかし、このプロットは②の要因を考慮していません。
そこで、図4に同じ水蒸気圧の時の透湿度を比較しました。60℃の透湿度は25℃の時の約2倍の透湿度となっています。これが②の要因です。
このように、透湿度には温度依存性があります。従って、実際の使用環境に近い条件で透湿度を評価することが重要です。
適用分野
ガス透過試験
キーワード
樹脂フィルム、PET