概要
ゼオライトはTO4四面体構造(T原子:Si、Al)を持つアルミノケイ酸塩で、結晶構造内に多数の細孔構造を持ち、細孔内は水分子や陽イオンに占められています。これらの特徴から、ゼオライトは工業的に幅広く利用されており、細孔径を活かした分子ふるい、固体酸性質を活かした触媒や吸着材などの用途があります。
ゼオライトの触媒特性や吸着特性は骨格構造と密接に関わっています。このため、ゼオライト種による性能差や使用に伴う性能劣化を調べる際には、骨格構造の解析が重要となります。
ゼオライトの骨格構造は4、5、6員環などの多数のリング構造が基本となっており、ラマン分光によりリング構造を調べることで骨格構造の解析が可能です。
分析事例の紹介
骨格構造の異なるゼオライト(FAU型、MFI型)を測定すると、それぞれの構成リングに対応したピークが得られます。
【表1】 骨格構造が異なるゼオライトのラマンスペクトル測定結果
文献より帰属: 1) Y. Yu, G. Xiong, C. Li and F. Xiao, Micropor. Mesopor. Mater., 2001, 46, 23.
また、ラマン分光法は結晶性の低いゼオライトやシリカゲル・シリカガラスなどの非晶質材料にも適用可能です。例えばシリカガラスでは、シリカガラス特有の歪み構造である3員環や4員環を解析することができます。
適用分野
ゼオライト、シリカゲル、シリカガラス
キーワード
ラマン分光、リング構造、ゼオライト