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技術資料
No.T1716 | 2017.08.01

パルスNMR法による高分子材料の分子運動性解析

概要

高分子材料の機械特性は、架橋構造や結晶・非晶等の相構造、分子運動性等と密接に関係しており、材料間の物性差や経時変化などを調べる際にこれらの情報が重要となります。
高分子材料の相構造や分子運動性を調べる手法として、1H核の緩和時間(T2)を測定するパルスNMR法があります。緩和時間は分子鎖の運動性が高いほど長くなるため、試料間の分子運動性を直接比較することができます。また、運動性の異なる複数の成分が混在する場合、波形処理を行うことでそれぞれの成分の比率や緩和時間を求めることも可能です。
今回は、パルスNMR法でポリエチレンを分析した事例を紹介します。

分析事例の紹介

低密度ポリエチレン(LDPE)及び高密度ポリエチレン(HDPE)のパルスNMR測定を行った結果、緩和時間の異なる3つの成分が確認されました【図1,2】。
各成分の比率及び緩和時間を試料間で比較したところ【表1】、LDPEはHDPEに比べ分子運動性の低い成分(主に結晶部)の比率が小さく、また全ての成分で緩和時間が長い(運動性が高い)ことが分かりました。
このように、パルスNMR法により高分子材料の分子運動性を評価することができます。

1 各成分の比率及び緩和時間

試料名 運動性低 運動性中 運動性高
比率(%) T2(μs) 比率(%) T2(μs) 比率(%) T2(μs)
LDPE 59 19.8 32 70.2 9 276.7
HDPE 64 12.0 29 49.0 7 167.8
適用分野
高分子(ポリエチレン、ゴム、ポリウレタン等)
キーワード
パルスNMR法、運動性解析

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