概要
エポキシ樹脂は接着剤として広く用いられている。エポキシ樹脂の硬化は化学反応であり不可逆なものであるため、使用には可使時間(ポットライフ)を知る必要がある。ポットライフはエポキシ樹脂の使用温度と深く関係している。本技術資料ではEMS粘度計 (弊社技術レポート、No.A1902) を用い種々の温度におけるエポキシ樹脂の粘度測定を行った。
試料
エポキシモノマー :ビスフェノールAジグリシジルエーテル (東京化成工業株式会社)
硬 化 剤 :1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン (東京化成工業株式会社)
分析手法
EMS粘度計 :EMS-1000 (京都電子工業株式会社)
プ ロ ー ブ :アルミニウム球 (φ4.7 mm)
測 定 温 度 :25、30および40℃
結果
【図1】に各温度におけるエポキシ樹脂の粘度(h)の硬化時間による変化を示す。硬化温度により粘度の上昇速度に変化が認められた。【図1】をh = h0exp(kt)でフィッティングし、速度定数(k)を算出した。【図2】はkと絶対温度(T )の関係をアレニウスプロットで示したものである。【図2】をk = –E/RT+lnAでフィッティングし、活性化エネルギー(E )を算出した。この時のRおよびAはそれぞれ気体定数および頻度因子である。得られた活性化エネルギーは13 kcal/molとなり既報1)とよく一致した。このことから、EMS粘度計でエポキシ樹脂の硬化に伴う粘度の変化を精度良く追跡できたといえる。
まとめ
種々の温度におけるエポキシ樹脂の硬化過程の追跡および活性化エネルギーを算出した。
参考文献 1) K. Horie et al., J. Polym. Sci., A-1, 8, 1357 (1970).
適用分野
高分子材料、接着剤
キーワード
粘度、接着剤、温度依存性、時間依存性、熱硬化性樹脂、反応系