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技術資料
No.T2225 | 2023.03.09

2D-HPLC法による共重合体の組成分布解析(4)

~アクリロニトリル-ブタジエン共重合体(NBR)~

概要

HPLC法は各種有機化合物やポリマーの分離分析に不可欠な手法です。このうち、2つの異なる分離モードを用いて試料の分離を行う2D-HPLC(2次元HPLC)法は、特に共重合体の組成分布解析に有効な手法となっています。本資料では、2D-HPLC法を用いてアクリロニトリル-ブタジエン共重合体(NBR)の組成分布を解析した結果について紹介致します。

測定事例

NBRは特に耐油性に優れることから、ホースやオイルシールなど自動車部品をはじめとした多岐の用途に使用される合成ゴムです。結合しているアクリロニトリル(AN)量が増加するほどNBRの耐油性は向上しますが、一方で耐寒性、低温特性などは低下します。今回は、AN含量が等しい市販品のNBR2点について、2D-HPLCによる組成分布分析を行いました。
今回の分析では、1次元目に組成分離を目的としたGPEC(Gradient Polymer Elution Chromatography)1-3) を、2次元目に分子量分離を目的としたGPCを用いました。

試料

市販NBR 2点
・サンプルA、B (いずれもAN含有量:41wt%)

結果

得られた結果を図1に示します。

【図1】 NBR 2点の2D-HPLC分析結果

これらの図では、横軸は分子量の対数値を示します。また、縦軸はGPECの保持時間を示しており、今回の分析条件ではAN含量の高い成分ほど早く溶出することとなります。
サンプルA、Bともに等高線がやや右側に傾いていることから、高分子量成分ほどブタジエン含有量が高いと考えられます。また、サンプルAは等高線の中心付近にピークトップを1つだけ有するのに対し、サンプルBは中心の異なる楕円が低分子量側と高分子量側に2つ観測されています。したがって、サンプルBはAN含量、分子量の異なる2成分をブレンドした試料であると推定されました。

まとめ

2D-HPLC法を用いる事により、試料間の分子量分布、組成分布の違いを視覚的に比較する事が可能となります。

参照文献

1) W. J. Staal, P. Cools, A.M. Van Herk, A. L . German, J. Liq. Chromatogr., 17, 3191 (1994)
2) Y. Brun, P. Alden, J. Chromatogr. A., 966, 25 (2002)
3) 香川信之, 岡﨑玲子, 伊藤明, 分析化学, 59, 793 (2010)

適用分野
プラスチック・ゴム
キーワード
高分子、ポリマー、共重合体、NBR、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ゴム

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