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技術資料
No.T2411 | 2024.07.19

熱分解GC/MS、13C-NMR分析による熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)の組成解析

概要

 ポリウレタンは多種多様な原料(イソシアネート、ポリオール)からなる樹脂であり、原料組成によって幅広い物性(強度、弾性、耐久性など)の制御が可能です。すなわち、ポリウレタンの物性を制御するうえで、原料組成を解析することは非常に重要と言えます。本資料では、熱分解GC/MS13C-NMR分析による市販の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)の組成解析事例をご紹介します。

試料

 市販TPU

分析方法

 TPUを冷凍粉砕し、得られた粉末試料を熱分解GC/MS分析に供しました。また、TPUを重溶媒に溶解し13C-NMR分析を実施しました。

分析装置

熱分解GC/MS

 熱分解装置 :フロンティア・ラボ製 PY-2020D
 GC/MS  :島津製作所製 GCMS-QP2010

NMR

 日本電子製 JNM-ECX400

結果

1) 熱分解GC/MS分析

 TPUの熱分解GC/MS分析結果を図1に示します。検出されたピークのマススペクトルを解析したところ、1,4-ブタンジオール、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)に由来するピークであると推定されました。また、ポリオール成分の熱分解物由来と考えられる規則的なピーク群も観測されましたが、具体的な構造の推定は困難でした。

【図1】TPUの熱分解GC/MS分析結果(熱分解温度:600℃)

【図1】TPUの熱分解GC/MS分析結果(熱分解温度:600℃)

2) 13C-NMR分析

 TPUの13C-NMRスペクトルを図2に示します。MDI1,4-ブタンジオールに加え、PTMG(ポリテトラメチレングリコール)に由来するピークが観測されました。よって、熱分解GC/MS分析において観測されたピーク群はPTMGの熱分解物であると考えられました。

【図2】TPUの13C-NMRスペクトル

【図2TPU13C-NMRスペクトル

まとめ

 本試料はMDI1,4-ブタンジオール、PTMGからなるTPUであると推定されました。試料によっては、1つの分析手法のみでの組成推定が困難なケースも生じます。今回のように複数の分析手法を組み合わせることで、より精度の高い解析が可能となります。

適用分野
プラスチック・ゴム、その他有機材料
キーワード
ポリウレタン、TPU、イソシアネート、ポリオール

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