概要
多くの芳香族ポリイミドは不溶・不融のため、例えば溶液NMR分析が不可である等、構造解析手法が限定されます。芳香族ポリイミドを構造解析する場合、化学分解によりポリイミドをモノマー単位まで分解し可溶化することで、GC/MS等による構造解析が可能となります。
本技術資料では、アルカリ加水分解-GC/MSによるポリイミドの構造解析事例を紹介します。
試料
市販ポリイミドフィルム
分析方法
ポリイミドフィルムをアルカリ加水分解し、得られた分解液を有機溶媒で希釈後、GC/MS分析を行いました。
分析装置
島津製作所製 GCMS-QP2010
結果
GC/MS分析結果を【図1】に示します。検出されたピークのマススペクトルを解析したところ、4,4′-ジアミノジフェニルエーテル、ピロメリット酸テトラメチルに由来するピークであると考えられました。この結果から、【図2】に示すポリイミドの構造が推定されました。
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【図1】分解液のGC/MS測定結果
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【図2】ポリイミドの推定構造
適用分野
プラスチック・ゴム、電池・半導体材料
キーワード
ポリイミド