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技術資料
No.T2414 | 2024.07.30

LC-QMSによるアミノ酸の分離・検出

概要

 アミノ酸は分子内にアミノ基とカルボキシ基を持つ有機化合物の総称であり、タンパク質の構成要素です。アミノ酸は極性が高いため逆相カラムでは保持が困難であり、誘導体化を利用して分析する方法が一般的に用いられます(表1)。この方法は高感度ですが、誘導体の安定性が低いものや専用の装置が必要となるデメリットもあります。
 本技術資料では、煩雑な誘導体化なしで、親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC1)を分離モードとした四重極型質量分析計(QMS)による各種アミノ酸の高感度検出を検討した例についてご紹介します。

【表1】アミノ酸の分析手法
手法 手順 検出法
プレカラム誘導体化法 誘導体化→HPLC(逆相)→検出 UV or 蛍光検出器
ポストカラム誘導体化法 IEC(陽イオン交換)→誘導体化→検出
LC-QMS HPLC(HILIC)→検出 MS

1 Hydrophilic Interaction Chromatographyの略であり、親水性相互作用クロマトグラフィーとも呼ばれ、逆相では保持が難しい極性の高い化合物を分析するモードです。アミドカラム等の固定相官能基の極性が高いカラムを用い、親水性相互作用を利用して分離を行います(図1)。

【図1】HILICモードの概念図

【図1】HILICモードの概念図

分析方法

 各種アミノ酸(試薬)を溶解、希釈し、LC-QMSSIM:選択イオンモニタリング※2)測定を行いました。
 ※2 目的のイオンのみ検出することにより、感度を向上させる分析モード

分析条件

装置

LCMS-2050(島津製作所)

カラム

Shodex HILICpak VG-50 4E

移動相

NH3aq./アセトニトリル移動相による溶媒グラジエント

カラム温度

40℃

流速

0.6mL/min

試料濃度

g/mL

注入量

10μL

イオン化

加熱型DUIS, ネガティブモード

結果

各種アミノ酸のMSクロマトグラム(SIM)を図2に示します。
・HILICカラムを用いることにより、誘導体化なしで各種アミノ酸の保持と分離が確認できました。
・MS検出(SIM)によりppbオーダーの高感度検出が可能です。ロイシンで検量線を作成したところ、
 ppbオーダーで良好な直線性が得られました(図3)。

【図2】各種アミノ酸のMSクロマトグラム(SIM)

【図2】各種アミノ酸のMSクロマトグラム(SIM

【図3】ロイシンの検量線

【図3】ロイシンの検量線

まとめ

 LC-QMS(SIM)により、煩雑な誘導体化をすることなくアミノ酸の分離と高感度検出が可能です。
製品、培養液等に含まれるアミノ酸の定性及び定量分析に有効と考えられます。

適用分野
ライフサイエンス
キーワード
LC-MS、四重極型質量分析計、HILIC、アミノ酸

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