概要
カーボンニュートラル社会の実現に向けて、プラスチック資源を循環させる仕組み、マテリアルリサイクルの確立が求められています。本資料では、バージンPPとリサイクルPPでの分子構造の差を、溶融粘弾性データのvan Gurp – Palmen プロットにより検討した結果を示します。本結果よりリサイクルPPの分子構造はバージンPPとの間で著しい差異が無いことを示すことができました。
実験方法
入手した種々のバージンPPやリサイクルPPを使用したプラスチック製品について溶融粘弾性測定を行いました。フィジカ製のMCR300をコーン・プレート型レオメーターとして使用し、190 ℃において、線形の貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”、動的粘弾性の絶対値である|G*|=(G’2+G”2)0.5及び損失正接tanδを求めました。これらの結果からlog(|G*|)に対してδをプロットする、van Gurp – Palmenプロットを行いました。
検討結果
図1にvan Gurp – Palmenプロットを示しました。赤い記号がバージンPP、青い記号がリサイクルPPを示しており、概ね同様の挙動を示しています。このことから両者は著しい分子鎖の構造の違いは無いと考えることできます。
まとめ
van Gurp – Palmenプロットにより、PPはリサイクルによる分子構造の著しい変化が無いことを示しました。
なお、2024年9月開催の第73回高分子討論会で弊社から本資料に基づく講演を行います。
参考文献
1)M. van Gurp, J. Palmen; Rheology Bulletin, 67, 5 (1998)
適用分野
プラスチック、ソフトマテリアル、エラストマー、ゴム
キーワード
資源循環、カーボンニュートラル、マテリアルリサイクル、プラスチック、ポリプロピレン、溶融粘弾性、van Gurp Palmenプロット