概要
結晶性の医薬品原薬は、結晶構造により溶解性や薬剤の活性が異なる場合があり、結晶多形を把握することが重要となります。本資料では、固体NMRを用いたグリシンの結晶多形解析事例を紹介します。
分析方法・分析装置
分析方法 | 13C DDMAS NMR |
分析装置 | 400MHz NMR |
試料
グリシン(α 型、γ 型)
分析事例
グリシンはアミノ酸の一種で、3つ(α 型、β 型、γ 型)の結晶多形が知られています【図1】。1) ここでは、α 型とγ 型が混在したグリシンを試料に用いて、13C DDMAS NMR測定を行いました【図2】。CH2基とC=O基のピークがそれぞれ2成分観測され、低磁場側がα 型、高磁場側がγ 型のピークと帰属されました。2)
本測定は定量条件で行っており、ピークが分離しているC=O基のピーク積分値から各結晶構造の比率(mol%)を算出した結果、α 型:γ 型=28:72でした。このように、固体NMRでは純品による検量線作成を行う必要がなく、混合試料のスペクトルから直接比率が算出できます。
参考文献
1)永嶋伸也, 日本結晶学会誌, 35, 381(1993).
2)M. J. Potrzebowski, P. Tekely and Y. Dusausoy, Solid State Nucl. Magn. Reson., 11, 253(1998).
適用分野
有機材料(医薬品)
キーワード
固体NMR、結晶構造、結晶多形、アミノ酸