概要
高機能・高性能なゴム関連製品の開発において、ゴムの分子構造と物性との関係性を把握することが重要です。固体NMRでは材料をそのままの状態で測定できるため、溶媒に不溶な架橋ゴムの架橋構造解析や組成分析が可能となります。
NMRは磁場強度が向上すると感度、分解能共に向上します。そのため、高磁場の固体NMRではこれまで観測が困難であった微量成分の分析が可能となり、定量性の向上が期待できます。
本技術資料では、高磁場固体NMRによる解析事例として、天然ゴムのcis-trans比率解析をご紹介します。
分析事例の紹介
磁場強度の異なるNMR(400MHz、700MHz)を用いて天然ゴムの固体13C NMR測定を行った結果を示します【図1】。天然ゴムはイソプレンのcis体が繰り返し結合したポリイソプレンが主成分ですが、微量のtrans体が存在することが知られています。1) 700MHz NMRでは1%未満のtrans体ピーク(1、5)が明確に検出され【図2】、cis-trans比の算出が可能です【表1】。
| 構造 | 比率(mol%) | 
| cis体 | 99.3 | 
| trans体 | 0.7 | 
【参照文献】
1) 河原成元、田中康之 日本ゴム協会誌 82, 417-423 (2009)
適用分野
            高分子材料(天然ゴム等)
          キーワード
            高磁場NMR、固体NMR、組成分析、微量分析
           
			