概要
複数の金属を混ぜ合わせた合金では、二種類以上の結晶相に相分離した共晶組織を形成する。共晶構造を持つ合金は、低融点かつ流動性に優れることが知られており、鋳物、溶接、ロウ付けなどの分野で重宝されている。
本技術資料では、代表的な共晶合金であるはんだの共晶組織を、in-situ加熱SEMで観察した。
分析事例の紹介
試料 : はんだ
はんだはPbとSnの合金であり、Pbリッチなα相とSnリッチなβ相から成る共晶組織を有している。
実際に反射電子検出器(重元素ほど明るく観察される検出器)を用いてはんだを観察すると、α相(明部)とβ相(暗部)から成る共晶組織が認められた【図1】。
a)昇温過程
25℃から300℃まで10℃/minで昇温しながらSEM観察を行った。230℃付近で各相が溶融し、均一相を形成した【図1】。
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b)降温過程
300℃から150℃まで10℃/minで降温しながらSEM観察を行った。186℃で急激に相分離し、共晶組織を形成した。
その後、降温に伴い、共晶組織が粗大化した【図3】。
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適用分野
金属、セラミックス、その他無機製品
キーワード
in-situ、SEM、共晶、金属、はんだ