概要
HPLC法は各種有機化合物の分離分析に不可欠な手法です。ポリマーにおいては、多くの場合、サイズ排除モード(SECモード)による分子量測定(GPC法)が中心となっています。一方、特殊な分離条件を用いれば、HPLC法もポリマーの組成分離に有効な手法となります。(弊社技術資料T1209Y, T1210Y参照)
今回、弊社では、ポリマーの組成分布分析のために、最新型の2D-HPLC(2次元HPLC)装置を導入したので、ご紹介致します。
装置構成
2D-HPLC分析の概要を図1に示します。2D-HPLC装置は2台のHPLCを「切替バルブ」を介して接続した構成になっています。この装置では、まず1次元目において、特定のカラムを用いて、ある分離条件で試料を分離します。そしてカラムから溶出した成分のうち、必要な成分を切替バルブを用いて2次元目の装置に導入します。2次元目では、1次元目とは別の分離条件を用いて導入された成分を分離します。これを全ての成分について順次行い、最後に、得られた個々のクロマトグラムを統合して3Dプロット(鳥瞰図)、または2Dプロット (等高線図)を作成します。
今回導入した装置は、Agilent Technology製の高速液体クロマトグラフィー 1290 Infinity II 2D-LC Systemです。装置外観を図2に示します。また、切替バルブの流路図を図3に示しますが、10本のループにより、1次元目でカラムから溶出した成分を貯めて、2次元目で順次分析していきます。
1次元目、および2次元目の分離条件は自由に選定でき、逆相モード(RPC)、順相モード(NPC)、およびサイズ排除モード(GPC)や、GPEC (Gradient Polymer Elution Chromatography)、LCCC (Liquid Chromatography at Critical Conditions)などから選定することが可能です。ポリマーの組成分布分析では、GPECとSEC (GPC)を組み合わせることが有効です。
測定例として、エチレン-酢酸ビニル共重合体( EVA;平均酢酸ビニル含有量VAc=80wt%)の2D-HPLC (GPEC×GPC)測定結果を図4に示します。(図4(a);鳥瞰図、図4(b);等高線図)