概要
製品に混入する「異物」は、しばしば品質問題となる。異物の低減には、その組成を解析し、発生源を特定することが重要である。近年、品質の向上に伴い発生する異物も微小かつ微量となる傾向がある。本技術資料ではポリエチレンシートに疑似異物として混ぜ込んだ微量の金属粉について、X線回折(XRD)により同定解析した事例を紹介する。
試料
ポリエチレンシート(金属粉含有)
分析事例
異物が小さく、目視では視認困難であったため、XRDの試料台の直上にCCDカメラを設置し、異物の拡大像を取得した【図1】。その後、拡大像の指定箇所(【図1】▼、5か所)にビーム径約1mmのX線を照射し、XRDパターンを取得した(測定点の間隔;500µm)。得られたXRDパターン【図2】をデータベース照合により解析した結果、金属粉はSnであることが分かった。ビーム径の関係で、金属粉(視野②)から500µm離れた視野③でもSn由来の回折線が認められた。一方、視野②から1mm離れた視野④ではSn由来の回折線は未検出であった。このことから、本手法では約1mmの空間分解能でXRD測定可能と考えられる。
適用分野
プラスチック・ゴム、無機製品、有機製品、電池・半導体材料
キーワード
X線回折、微小部、異物、同定、微量分析