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技術資料
No.T2222 | 2023.01.27

ゼオライト中のCs状態解析

概要

ゼオライトは結晶構造に孔路と呼ばれる細孔構造を持ち、その内部に陽イオンや水分子を吸着することが出 来ます。これらの特徴から、ゼオライトは触媒、分子ふるい、吸着剤など工業的に広く利用されています。
ゼオライト中の陽イオンの状態は材の物性に影響するため、その解析は重要です。今回は、ゼオライト中のCsイオン(Cs+)の状態について、固体NMRで解析した事例を紹介します。

分析事例

Csを担持したモルデナイトゼオライト(CsMOR)【図1】1)について、Cs+の状態を133Cs MAS NMR測定により調べました。

【図1】 MORの骨格構造1)

試料をそのまま測定した場合、試料中の吸着水の影響により水和状態のCs+由来ピークのみ観測されました【図2】。
そこで、試料の真空加熱処理を行い、窒素グローブボックス中でサンプリングすることで、脱水状態での測定を行いました【図3】。脱水状態では2つのピークが観測され、-30 ppmのピークは6員環中のCs+由来(図1の⑥等)、-120 ppmのピークは8員環中のCs+由来(図1の⑧等)と帰属されました。2)

*スピニングサイドバンド:MAS回転数間隔で現れる副次ピーク

参考文献
1) https://america.iza-structure.org/IZA-SC/framework.php?STC=MOR.
2) P. Chu, B. C. Gerstein, J. Nunan and K. Klier, J. Phys. Chem. 91, 3588(1987).

適用分野
固体NMR、構造解析
キーワード
セラミックス・ゼオライト、その他無機製品

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