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技術資料
No.T1103 | 2011.02.17

HPLC法によるポリエチレングリコール(PEG)の分離

概要

 HPLC(高速液体クロマトグラフィー)は、順相モード、逆相モード、サイズ排除モードなど、いくつかの原理に基づいた分離が行われています。ポリマーの分離については、サイズ排除モード(SEC)による分子量測定が中心となっています。しかし、一般の有機化合物と同様に、順相モードや逆相モードによる分離を用いることにより、様々な情報を得ることが可能となります。ここでは、逆相モードを用いたポリエチレングリコール(PEG)の分離についてご紹介します。

内容のご紹介

分子量の異なるPEGについて、ODSカラムを用いたグラジエントHPLCによる測定を行いました。

[分析条件] 

カ ラ ム : TSKgel ODS-80Ts (4.6mmφ×25cm) (東ソー製)
移 動 相 : 水/アセトニトリル移動相による溶媒グラジエント
検 出 器 : 蒸発型光散乱検出器(ELSD)
カラム温度 : 40℃
流   速 : 1mL/min.
試 料 濃 度  : 1mg/mL
注 入 量 : 10μL

[試料] 

ポリエチレングリコール : PEG200, PEG400, PEG600, PEG1000, PEG1540, PEG2000, PEG3000
             (和光純薬工業製)

[結果]

 各試料で得られたクロマトグラムを図1に示します。逆相モードによる分離では、サイズ排除モードとは逆に低分子量成分から溶出し、さらに分子量が低いPEGについては、分子量の異なる成分が完全に分離しています。これに対し、分子量が増加すると、各成分が分離しにくくなっています。これは、逆相モードでの分離は、試料分子とカラムとの相互作用の違いによるため、低分子量ではモノマー1個分の構造の違いによる影響が大きいのに対し、高分子量になると、その影響が小さくなるためと考えられます。従って、逆相モードや順相モードによる高分子の分離は、SECよりも分離能は高いものの分離できる分子量に限界があることがわかります。
 なお、今回用いた測定条件では、最も分子量の低いピーク(n<5)が十分に検出されていません。これは、今回用いた検出器(ELSD)の特性によるもので、移動相を噴霧する際に、試料も蒸発してしまったためと考えられます。(今回は、高分子量PEGの検出を優先する設定としたため、低分子量PEGについては検出不十分になったと考えられます)


図1 グラジエントHPLC法によるPEGの測定例
(図中の数字はエチレングリコールのユニット数を示す)
適用分野
プラスチック・ゴム、食料品・飲料・飼料・食品包装材
キーワード
PEG、ポリエチレングリコール

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