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技術資料
No.T1707 | 2017.06.01

-LIBの分析- 固体NMRによるLi状態解析

概要

スマートフォンやノートパソコン等に幅広く使用されているリチウムイオン電池(LIB)では、正極と負極の間をLiイオンが移動することで充電や放電が行われます(図1)。充放電の繰り返しで電池の劣化が進むと、電極内に留まるLiが生成し、電池容量が低下するため、Liの存在状態を把握することが重要です。
電極中Liの化学的状態について調べる有用な手法として、固体NMR分析があります。ここでは、充放電前後の黒鉛負極材に存在するLiの化学状態について解析した結果を紹介します。

分析例

黒鉛負極材中のLi状態を解析するため、固体NMRで分析した結果を以下に示します。

【図3】 黒鉛負極材の7Li MAS NMRスペクトル

【表】 ピーク帰属

試料 状態 化学シフト(ppm) 推定帰属
黒鉛負極材 放電 30〜-70 Li塩、LiCx(12<x<27)
充電 0〜30 Li塩、LiCx(12<x<27)
45 LiC6,LiC12


充電状態では、LiC6やLiC12に帰属されるピークが45ppmに観測され、Liイオンがグラファイト層に存在していることが分かります。一方、放電状態からはLi塩やLiCx(12<x<27)といった、残存Li由来のピークが観測されました。このように、固体NMRを用いることで、材料劣化に影響する残存Liの状態を把握出来ます。

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