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技術資料
No.T2129 | 2022.01.31

断面TEM/EDSによるステンレスの酸化被膜解析

概要

 ステンレスが錆びにくい理由は、金属成分に空気中の酸素が結びついて酸化被膜が形成され不動態化するためです。透過型電子顕微鏡(TEM)により、厚み数nmの非常に薄い酸化被膜を観察した事例を紹介します。

分析方法

 集束イオンビーム装置(FIB)を用いて試料断面を作製、TEM観察及びエネルギー分散型X線分析器(EDS)による元素マッピングを行いました。

試料

市販ステンレス

結果

 断面TEM像を図1、EDS元素マッピング結果を図2に示します。断面TEM像より、試料表面に試料内部とコントラストが異なる層(膜厚2.8nm)が観察されました【図1】。EDS元素マッピングより、この層には酸素が多く分布していることが分かり、酸化被膜と判断できます【図2】。

まとめ

 ステンレスの断面を作製してTEM/EDS分析を行うことで、性能因子となる酸化被膜の膜厚や形状を評価できます。X線光電子分光法(ESCA)により酸化被膜の化学状態解析も可能です【技術資料No. T1841】。
 断面TEM及びEDSはステンレス以外の被膜解析にも有用な手法で、他分析手法とあわせて材料性能に寄与する構造因子を解析できます【技術資料No. T2105,T2108】。

適用分野
その他無機製品
キーワード
ステンレス、酸化被膜、膜厚、断面、透過型電子顕微鏡、TEM

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