概要
リチウムイオン電池(LIB)正極の活物質は、結晶構造によりLiイオンの出入りのしやすさが異なることや、Liイオンの出入りの繰り返しにより結晶構造が変化することが知られています。そのため、結晶構造を知ることはLIBの性能を評価するための重要な情報になります。
微小領域の形態観察と結晶構造解析が可能な「FIB-TEM法」で、コバルト・ニッケル・マンガン系正極材[ Li(Ni,Mn,Co)O2 ] の構造解析を行った例を紹介します。
装置
○集束イオンビーム(FIB) 機種:SMI-3050 日立ハイテクノロジーズ製
○電界放射型透過電子顕微鏡(FE-TEM) 機種:JEM-2100F 日本電子製
結果
正極材のTEM観察の結果、結晶粒子が観察されました(図1)。
図1中に赤矢印で示した結晶粒子について取得した電子線回折図形は、シミュレーション結果と同様の図形であるため(図2,3)、結晶構造は図2の通りと推測できます。格子像観察でもNi,Mn,Co層の層間隔を観察することができました(図4)。
以上のように、正極材中の金属原子の配列を観察し、正極材の性能に影響する微小領域の結晶構造を調べることが可能です。
適用分野
無機材料、構造解析、形態観察
キーワード
電池材料、酸化物、三元系