概要
セルロースの溶解、及びGPC分析においては、LiCl/DMAc溶媒が用いられます[1]。しかし、同手法では溶解に数週間から数ヶ月を要する場合があります。
東ソー分析センターでは、前処理法等の工夫により、分子量を低下させずに、溶解時間を大幅に短縮することが可能になりました(TARC法)。
分析事例
ろ紙(Whatman No.1)を、LiCl/DMAcを用いたE.J.-Grojzdekらの方法(J-G法) [2]とTARC法で溶解しました。1%溶液を作成するのに要した時間は、J.-G法で1週間、TARC法では6時間でした。
各々の方法で得られた試料溶液を供して、GPC分析した結果を図に示しました。このときTARC法で得られたMwは70万であり、E.J.-Grojzdekらの結果(Whatman No.1; Mw = 70万) [2]と同様の値で、両者はほぼ一致しました。
TARC法は分子量を低下させることなく、短時間で分析可能であり、分析手法の妥当性が確認されました。
参考文献
1) EJ.-Grojzdek, M.Kunaver, I.Pojansek; BioResources, 7 (3), 3008 – 3027 (2012)
2) McCormick, C.L. Callais, P.A.; Polymer, 28 (13): 2317-2323 1987).
適用分野
GPC、SEC
キーワード
セルロース、ろ紙