概要
セルロースナノファイバー(CNF)は優れた増粘性、ナノ分散性、補強効果を有しており、新しいナノ材料として期待されています。
CNFの分子量測定法としては、粘度法が一般的に用いられています。しかし、粘度法では平均分子量が得られますが、分子量分布は得られません。
これに対し、GPC法では平均分子量と分子量分布の両方の情報を得ることが可能です。さらにGPC法から得られる分子量分布曲線からは、視覚的な情報を得ることもできます。
分析事例
CNFの原料からCNFに至る段階での分子量変化について確認するために、GPC法により分子量を測定しました。今回用いた試料は、原料、途中品、CNFの3点です。得られた結果を図1に示します。

(a) :全体図, (b) :高分子量側の拡大図
図1より、原料からCNFを製造する過程では、低分子量側は、分子量がほとんど変化しないのに対し、高分子量成分が減少する傾向を有することが確認できました。
高分子量成分の存在に敏感な重量平均分子量(Mw)とz平均分子量(Mz)の変化を図2に示します。図2より、製造過程に伴って、Mw、Mz共に低下しましたが、特に超高分子量成分に敏感なMzの方が低下する傾向が大きいことが分かります。

以上のように、GPCを用いた分子量測定では、製造過程でどのような分子量変化を生じるかを明らかにすることが可能となります。
適用分野
GPC、SEC
キーワード
セルロースナノファイバー、CNF、セルロース