概要
製品外観は品質管理の上で重要項目の一つである。樹脂(プラスチック)の多くは加熱等により溶融し、様々な方法で流動させて形づくる(成形)。金型等に閉じ込めて冷却固化して成形するものの他、流動時の表面がそのまま製品外観に直結する成形法も少なくない。
このような成形法に適する原材料を見分ける一つの方法として、キャピラリーレオメーターによる流動性評価が有用である。本技術資料では、基本的な流動挙動と外観の関係について紹介する。
分析事例の紹介
キャピラリーレオメーターの模式図を図1に示した。樹脂に圧力をかけて細管(ダイ)の中を流し、圧力(せん断応力)と流量(せん断速度)の関係を評価できる。一般的な流動曲線(せん断応力とせん断速度の関係)を図2に示した。
低せん断速度域: | せん断速度の増加に伴い、一様にせん断応力が増加する。この領域では、押出された試料(ストランド)は、表面に光沢があり、きれいな形状をしている。せん断速度が増加すると、表面が艶消し状になるが、ストランド形状そのものは円筒形を保持している。 |
中せん断速度域 : | 試験条件(樹脂、温度、押出し口形状など)によっては、圧力が変動し、ストランド外観も周期的に変動する(竹節状:バンブー)。 |
高せん断速度域 : | ストランドが真直ぐ押出せなくなり、ひずむ(メルトフラクチャー)。条件によっては、さらに高速にすると、再び梨地状のきれいなストランド外観が得られる(スーパーシェア)。 |
外観は、様々な条件で変化する為、実製造機と対応が取れないこともあるが、少量で樹脂間の違いを比較することができ、成形異常を解析する基本的なツールとして用いられている。そのような例として、次の技術資料で流動異常性の一つである滑り流動について紹介する。
適用分野
成形加工
キーワード
樹脂、外観、流動