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技術資料
No.T1902 | 2019.07.02

リサイクル分取GPCによる目的成分の分取(1)

概要

リサイクル分取GPCは、カラムから溶出した分離不十分な成分を、何度も同じカラムを通すことにより、実際には長いカラムを使用したことと同等の効果を得ることができる手法です。 今回は内径55mmの大口径分取カラムを用いて目的成分のリサイクル分取を行った事例をご紹介します。 なお、リサイクル分取GPC装置の詳細については、技術レポート(No.A1801)をご参照願います。

分析

・試料 : 二峰性ポリスチレン(SIGMA-ALDRICH製) : 331651(Mw=35,000)
・測定条件

(1)リサイクル分取GPC

・装置

:LaboACE LC-7080 (日本分析工業製)

・カラム

: TSKgel GMHHR-H(20) (55mmI.D. x 30cm) (東ソー製)

・溶媒

: クロロホルム

・流速

:25mL/min

・試料濃度-注入量

:1.0wt%-80mL (800mg)


(2)分析GPC

・装置

:HLC-8320GPC (東ソー製)

・カラム

:TSKgel GMHHR-H x2 (7.8mmI.D. x 30cm x2) (東ソー製)

・溶媒

:クロロホルム

・流速

:1.0mL/min

・試料濃度-注入量

:0.1wt%-0.1mL(0.1mg)

測定結果

二峰性ポリスチレンのリサイクル分取GPC測定を行った結果を図1に示します。
高分子量側の成分(*)を分取するため1回目のリサイクルである程度分離を改善すると共に低分子量側の成分をカットしました。リサイクル2回目の高分子量成分はリサイクル1回目の低分子量成分と重なって溶出されるため、3回目のリサイクルで高分子量側の成分を選択的に分取しました。

図1 二峰性ポリスチレンのリサイクル分取GPC測定結果

分析GPCの測定による二峰性ポリスチレンの分取前、及び高分子量側の分取後の微分分子量分布(高分子量側のピークトップで規格化)を図2に示します。今回のリサイクル分取の条件でほぼ高分子量側の成分のみが分取されていることが確認できました。

図2 分析GPC測定による微分分子量分布

今回の測定では、800mg/回の試料注入量で高分子量側の分取成分は約200mg/回でした。分取回数を繰り返すことにより、gオーダーの分取も比較的短時間で可能です。なお、必要な分取回数は試料中の分取したい成分の割合に依存します。

主な応用分野:
・合成物の分離・精製
・目的成分の分別 (分別物解析用試料の採取)

適用分野
合成高分子、天然高分子
キーワード
プラスチック、ゴム、樹脂、高分子、添加剤

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