概要
抗体医薬品の原薬として使用されるIgGは、製造工程や輸送・保存中に二量体、三量体等の凝集体を形成する場合があることが知られており、副作用を引き起こすリスクが懸念されています。このような観点から、IgG製剤の品質を管理する上で、単量体および凝集体の評価は不可欠となっています。
本技術資料では、抗体に化学的ストレスを与えて抗体凝集体を調製し、SECにより抗体凝集体を分析した結果について紹介します。
分析方法
抗体を酸性バッファーに暴露処理(18時間と42時間)し、酸ストレス抗体を調製しました。酸ストレス抗体中には、立体構造が変化し生成した抗体凝集体が存在します。調製した試料について、ストレスを与えていない非ストレス抗体ともに、SECによる測定を行いました【図1】。
酸ストレスの暴露時間が長くなるとともに、抗体凝集体のピーク面積が増加しています【図2】。
また、標準タンパク質を用いた分子量較正曲線より、各ピークトップの平均分子量(Mp)は、単量体:126,000、2量体:242,000、3量体:373,000と算出できます。
以上より、SECによる抗体凝集体の分析は、抗体医薬品の製造工程や輸送・保管中に生じることのある凝集体の評価が可能であり、品質管理に貢献いたします。
適用分野
医薬品・化粧品・農薬
キーワード
抗体、バイオ医薬品、IgG製剤、タンパク質、凝集体、分子量測定、GPC、SEC、GFC