概要
抗体医薬品等に含まれるN型糖鎖を切り出し、誘導体化することで、LC-MSによる糖鎖構造解析を行います(図1)。特に抗体医薬品では、翻訳後修飾によるN型糖鎖の違いにより薬効に差が生じることがあるため、糖鎖構造解析結果を品質管理や製品開発のためのデータとして用いることができます。
これまで誘導体化にはピリジルアミノ(PA)を使用していましたが、迅速な測定と多数の糖鎖同定が可能なRapiFluor-MSTMとUNIFI RFMS Glycan GU Library(Waters)を導入しました。
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【図1】N型糖鎖の解析イメージ
試料
市販の抗体医薬品A
分析方法
抗体医薬品AをRapiFluor-MSプロトコル(Waters)により糖鎖切り出しと誘導体化を行った後、LC-MS測定を行いました。解析にはUNIFI RFMS Glycan GU Libraryを使用しました (図2) 。
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【図2】MSスペクトルより糖鎖構造を同定
糖鎖 | G0F | G1Fa | G1Fb | other |
---|---|---|---|---|
存在比(%) | 59.7 | 6.8 | 13.8 | 19.7 |
まとめ
抗体から糖鎖を切り出してRapiFluor-MS化し、LC-MSにより迅速に糖鎖構造の詳細解析が可能です。糖鎖構造の不均一性が問題となる抗体医薬品や、エンジニアリングした糖鎖改変抗体などの解析に有用です。
適用分野
医薬品・化粧品・農薬
キーワード
糖鎖、糖タンパク質、抗体、IgG、バイオ医薬品