概要
高分子材料は、長時間にわたる酸との接触で、分子切断などの劣化を起こし分子量が変化します。
ポリエーテルエーテルケトン (PEEK) について、酸浸漬試験を行い、GPCによる分子量測定を行いました。
試験条件
1.酸浸漬試験
- 粉砕したPEEK樹脂を、50%硫酸または50%硝酸に浸漬し、加熱オーブン(50℃)中で連続加熱
- 浸漬加熱後2週後、6週後、および10週後に各々サンプリング
2.分子量測定
装置 | HLC-8320 (東ソー製) |
カラム | TSKgel SuperHM-H × 2本 (東ソー製) |
溶離液 | PFP/クロロホルム = 1/2 (wt/wt) |
測定結果
未処理および50℃浸漬加熱2週後から10週後までの、経過時間毎のGPCによる分子量分布を図-1および図-2に示します。試料に不溶解分が確認されたため、ピーク面積を補正しています。
各酸において、浸漬加熱経過による劣化進行の様子が、GPC測定により明らかとなりました。
50%硫酸の浸漬では、分子量および分子量分布に変化は見られません。一方、50%硝酸の浸漬においては、光劣化(技術資料No.T2122)、熱劣化(技術資料No.T2302)とは異なる劣化挙動を示すことが判ります。
適用分野
GPC、SEC、高分子、分子量測定、酸劣化
キーワード
芳香族ポリケトン、PEEK、難溶解性、スーパーエンジニアリングプラスチック、エンプラ