概要
超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)は、耐久性や強度など、様々な優れた特性を持っています。これらの特性は、ポリエチレンの性質に加え、高分子量である事から発現するため、分子量や分子量分布は非常に重要なパラメータです。本技術資料では、超高分子量ポリエチレン成形体の分子量測定事例をご紹介します。
試料および測定
通常、ポリエチレンは高温GPCで測定します。しかし、超高分子量ポリエチレンの場合、溶解性等の理由により、弊社では超高温GPCでの測定を推奨しています。測定条件の一例を記載します。
試料 | 超高分子量ポリエチレン製医療用フィルター |
装置 | HLC―8321GPC/HT (東ソー製) |
溶離液 | 1―クロロナフタレン |
温度 | 180℃ |
検量線 | 東ソー製標準ポリスチレンを用い、Qファクターでポリエチレン換算に変換 |
分析事例
図1に測定結果を示します。比較のため、市販の汎用ポリエチレン(押出成形用)の結果も併せて示しました。例示した汎用ポリエチレンと比べ、超高分子量ポリエチレンはピークトップの分子量が高く、100万以上の高分子量成分も多いことがわかります。このような分子量分布の評価を行うことで、グレード間の比較や成形に伴う分子切断の有無などを評価でき、超高分子量ポリエチレンの性能との関連を調べることができます。

【図1】UHMW-PEの分子量分布曲線(ポリエチレン換算)
適用分野
GPC、SEC、エンプラ
キーワード
超高分子量、UHMW-PE