概要
顆粒剤は薬効成分に添加剤を混合し、造粒して得られる経口用医薬品です。市販されている顆粒剤の断面を作製し、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)を用いた元素マッピングによって顆粒剤内部(断面)の薬効成分や添加剤分布を評価した事例を紹介します。
分析方法
電子線プローブマイクロアナライザ(EPMAまたは波長分散型分光器[WDS])
試料
- 顆粒剤A :市販品
- 顆粒剤B :市販品(顆粒剤Aよりも薬の効き始めが遅い)
結果
1)薬効成分の分布評価
顆粒剤は非常に脆いため、カッター等で平坦な断面を作製できません。そこで、脆弱試料の断面作製に有効なイオンミリング加工を適用しました。イオンミリング加工は機械的な応力が加わらず試料の変形が少ないため、EPMA分析に適した平坦な断面を作製できます。
顆粒剤Aをイオンミリング加工によって断面作製し、薬効成分の塩素(Cl)に着目したEPMA元素マッピング結果を図1に示します。数十µmサイズの薬効成分が、顆粒剤全体に分布している様子を可視化できました。
【図1】顆粒剤A(断面)のSEM像とClマッピング結果
2)薬効が異なる顆粒剤の成分分布評価
顆粒剤Bをイオンミリング加工によって断面作製し、EPMA元素マッピングを行った結果を図2に示します。顆粒剤A【図1】に存在しない表面層が確認され、酸素(O)、マグネシウム(Mg)、ケイ素(Si)が強く分布していることからタルク(Mg3Si4O10(OH)2)と推定できます。
顆粒剤Aと比べて顆粒剤Bは薬の効き目が遅い特徴があり、タルクで顆粒剤表面をコーティングすることで薬が効き始める時間を調整していると考えられます。顆粒剤内部の元素マッピングにより、薬効に影響する成分分布を解析可能です。
【図2】顆粒剤B(断面)のSEM像と元素マッピング結果
まとめ
イオンミリング加工による断面作製とEPMA元素マッピングによって顆粒剤内部の成分分布を評価し、薬効発現時間の異なる製剤間の違いを明らかとしました。
当社では幅広い材料に対するイオンミリング加工のノウハウを蓄積しており、顆粒剤のような脆弱材料の断面加工や、大気非暴露雰囲気を保った状態での断面加工と、高感度・高分解能が特徴であるEPMAを組み合わせた分析も得意としています。