概要
弊社ではサイズ排除クロマトグラフ(SEC)と様々な検出器を組み合わせた分析試験を御提供しています。その中で、検出器に濃度検出器や粘度計を使用する、というのは一般的な方法であるにもかかわらず、基本に基づいた理解がされているとは言いがたい側面があります。
そこで、粘度計を用いた固有粘度算出方法について基礎に立ち返って、検討を行い、論文投稿を行いました。(詳細につきましては、下記文献を参照区下さい。)
本技術資料ではその内容の一部を御紹介します。
内容の御紹介
SECに濃度検出器と連続粘度計を用い、溶出時間と固有粘度[η]の関係を調べることができます。固有粘度は分子量や分岐構造などと相関するため、光散乱と同様に分子構造の情報を与えます。
一般にSECで直接得られるデータは、比粘度ηspと濃度cです。すなわち、濃度1点の測定で固有粘度を算出する必要があります。このような濃度1点での[η]算出(以下1点法と呼ぶ。)は、様々な手法がJISなどで例示されています。
しかし、各手法の特徴や欠点が良く理解されないまま使用されているのが実情のようです。そこで、本検討は、SEC-連続粘度計などでの1点法やその注意点を提供する目的で検討を行いました。
検討に用いた手法は次のものです。
- Solomon-Cuita式
- Solomon-Gotesman式
- Deb-Chatterjee式
- Varma式
- Rao-Yaseenの式
- Rudin-Wagnerの式
- Fikentscher式
これらの算出法について、文献上での適合性の検討例について述べた後、SEC-連続粘度計のデータ解析手段としての適合性を検討しました。具体的には、キャピラリー粘度計を用いて格式n濃度依存性や実際のSEC-連続粘度計でのデータ解析を行った結果を報告しました。
【文 献】
髙取 永一、志村 尚俊、“濃度1点での固有粘度の測定-SEC-連続粘度計による固有粘度について-”, 日本ゴム協会誌, 81, 211-217 (2008)
本論文の別刷を準備しております。弊社四日市事業部開発営業グループへご請求ください。なお数に限りがあります。先着順に発送申し上げます。