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技術資料
No.T1104 | 2011.02.17 (2024.05.30改訂)

グラジエントポリマー溶出クロマトグラフィー(GPEC)によるアクリルポリマーブレンド試料の分離

概要

 HPLC(高速液体クロマトグラフィー)は、順相モード、逆相モード、サイズ排除モードなど、いくつかの原理に基づいた分離が行われています。ここでは、代表的なポリマーの組成分離法である、グラジエントポリマー溶出クロマトグラフィー(Gradient Polymer Elution Chromatography, GPEC)を用いた、アクリルポリマーブレンド試料の分離についてご紹介します。

分析方法

カ ラ ム : TSKgel ODS-100V (4.6mmφ×15cm) (東ソー製)
移 動 相 : アセトニトリル/THF移動相による溶媒グラジエント
検 出 器 : 蒸発型光散乱検出器(ELSD)
カラム温度 : 40℃
流   速 : 1mL/min.
試 料 濃 度  : 1mg/mL
注 入 量 : 20μL

試料

ポリメタクリル酸メチル (PMMA), ポリメタクリル酸エチル (PEMA), ポリメタクリル酸ブチル (PBMA),ポリメタクリル酸シクロヘキシル (PCHMA), ポリメタクリル酸エチルヘキシル (PEHMA),
ポリメタクリル酸ラウリル (PLMA), ポリアクリル酸メチル (PMA), ポリアクリル酸エチル(PEA)
計8種類のブレンド

結果

 得られたクロマトグラムを図1に示します。今回用いたGPECの測定条件では、ほとんどのアクリルポリマーのピークは非常にシャープであり、この結果から、分子量分布の影響は受けず、分子構造の違いのみで分離されていると考えられます。
 今回のグラジエント条件ではPEMAPBMAが完全には分離できていませんが、それ以外のアクリルポリマー全てが分離できました。
 なお、最初に溶出したPMAはピークがテーリングしていますが、これについて、今回の測定条件では、PMAのみがサイズ排除モードで溶出してしまい、高分子量から低分子量の順に溶出したためであることが2次元HPLC法を用いて確認されています1)
 GPECを用いることにより、分子量分布を有するポリマーのブレンド試料についても、その分子構造の違いのみによって分離することが可能となり、様々なポリマーブレンド試料の分離に応用できることが期待されます。

【図1】GPECによるアクリルポリマーブレンド試料の分離
(*) 不純物のピーク

【図1】GPECによるアクリルポリマーブレンド試料の分離
(*) 不純物のピーク

まとめ

 GPECを用いることにより、分子構造の異なるアクリルポリマーブレンド試料の分離ができることが確認されました。

参考文献
1) 香川, 分析化学, 71 (9), 449 (2022)

 

 

適用分野
高分子材料
キーワード
成分離,吸着臨界点,CPA, HPLC,GPEC,溶媒グラジエント,液体クロマトグラフィー, アクリルポリマー

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