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技術資料
No.T1210 | 2013.02.25 (2024.06.05改訂)

グラジエントポリマー溶出クロマトグラフィー(GPEC)によるスチレン-メタクリル酸メチル共重合体の分離

概要

 HPLC(高速液体クロマトグラフィー)は、順相モード、逆相モード、サイズ排除モードなど、いくつかの原理に基づいた分離が行われています。ここでは、代表的なポリマーの組成分離法である、グラジエントポリマー溶出クロマトグラフィー(Gradient Polymer Elution Chromatography, GPEC)を用いた、スチレン-メタクリル酸メチル(St-MMA)共重合体の分離についてご紹介します。

分析方法

カ ラ ム : TSKgel ODS-100V (4.6mmφ×15cm) (東ソー製)
移 動 相 : アセトニトリル/THF移動相による溶媒グラジエント
検 出 器 : 蒸発型光散乱検出器(ELSD)
カラム温度 : 40℃
流   速 : 1mL/min.
試 料 濃 度  : 1mg/mL
注 入 量 : 10μL

試料

 共重合組成の異なるSt-MMA共重合体
  ・ランダム共重合体  5種類 (試料R1~R5)
  ・ブロック共重合体  6種類 (試料B1~B6)
 ポリスチレン(PS)
 PMMA

結果

 得られたクロマトグラムを図1(ランダム共重合体とPSPMMA)、および図2(ブロック共重合体とPSPMMA)に示します。今回用いた測定条件では、まずPMMAが溶出し、ついでスチレン含有量の低い順にSt-MMA共重合体、最後にPSが溶出しました。
 図12より得られる各ピークのピークトップ保持時間と、各試料中のスチレン含有量(mol%)との関係を図3に示します。図3より、保持時間とスチレン含有量(mol%)とは良好な相関が見られました。
 一方、同じスチレン含有量でも、ランダム共重合体とブロック共重合体では保持時間が異なり、別の曲線となることが確認されました。この結果は、本法を用いると、同一の平均スチレン含有量を有するランダム共重合体とブロック共重合体であっても、明確に分離できることを示唆しています。
 なお、図1、図2でブロードなピーク(R-1B-2)が見られますが、この理由は、これらの試料は他の共重合体試料と比較して、広い組成分布を有しているためと考えられます1,2)

【図1】GPECによるSt-MMA共重合体のクロマトグラム
(ランダム共重合体)

【図1】GPECによるSt-MMA共重合体のクロマトグラム
(ランダム共重合体)

【図2】GPECによるSt-MMA共重合体のクロマトグラム
(ブロック共重合体)

【図2】GPECによるSt-MMA共重合体のクロマトグラム
(ブロック共重合体)

【図3】St-MMA共重合体のスチレン含有量と保持時間との関係

【図3】St-MMA共重合体のスチレン含有量と保持時間との関係

まとめ

 GPECを用いることにより、St-MMA共重合体の組成分離ができることが確認されました。

 

参考文献

1)香川, 分析化学, 62 (4), 325 (2013)
2)香川, 分析化学, 71 (9), 449 (2022)

 

適用分野
高分子材料
キーワード
St-MMA共重合体,スチレン-メタクリル酸メチル共重合体,組成分離,吸着臨界点,HPLC,GPEC,溶媒グラジエント,液体クロマトグラフィー

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