概要
ポリエステル樹脂は、繊維、フィルム、容器、ウレタン樹脂原料などに広く使用されています。
ポリエステル樹脂はジカルボン酸とジオールの脱水縮合で合成され、ジカルボン酸とジオールの種類や比率により強度や伸縮性などの特性を付与することができます。
弊社ではアルカリ加水分解を用いた構造解析を得意としておりますが、本資料ではポリエステル樹脂を原料まで分解し、構造解析した事例をご紹介します。
分析内容
ポリエステル樹脂を加水分解し、分離した成分について分析を行いました(図1)。
分析結果
1)GPC分析によるポリエステル樹脂の平均分子量測定
GPCで分子量分布測定を行った結果、平均分子量は2000と求められました(図2)。
2)NMR分析によるジカルボン酸、ジオールの同定
アルカリ加水分解で得られたジカルボン酸及びジオールの13C-NMR分析を行いました。ジカルボン酸はアジピン酸(図3)、ジオールは1,4-ブタンジオールとエチレングリコールの混合物(図4)と同定できました。
3)GC分析によるジオール比率の定量
GCでジオール成分の定量を行いました(図5、表1)。
ジオール成分 |
成分比率[wt%] |
1,4-ブタンジオール |
63 |
エチレングリコール |
37 |
まとめ
アルカリ加水分解を用いた構造解析により、ポリエステル樹脂を構成する各成分の同定と定量が 可能です。今回の試料では、アジピン酸と2種のジオール(1,4-ブタンジオール/エチレングリコール=63/37[wt/wt])からなるポリエステル樹脂であることが分かりました。
適用分野
プラスティック・ゴム、その他有機材料
キーワード
ポリウレタン、ポリエステル