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技術資料
No.T1109 | 2011.11.04

合成波による粘弾性測定

概要

 固体粘弾性は高分子のガラス転移温度や組成解析に有用な測定法ですが、転移温度が近い試料を見分けることは困難でした。測定情報を増やす方法として複数の周波数で測定し、温度-周波数を同時スキャンする方法がありますが、測定時間が長くなるという欠点を有しています。
 この問題を解決する方法として、複数の周波数を合成した合成波による測定法を用いることが出来ます。

分析事例の紹介

 図1に例として1Hzと8Hzの合成波を示しました。合成波を用いることで、同時に複数の周波数データを得ることが出来ます。

【図1】合成波のイメージ

【図1】合成波のイメージ

 図2にαポリオレフィンの温度分散を示します。-120℃付近と-40℃付近に大きな分散があり、合成波の測定結果からこれらの分散の活性化エネルギーをそれぞれ求めることが出来ました。複数の試料について解析した結果、-120℃付近の分散はαポリオレフィンの短鎖分岐の運動に対応し、αオレフィン種によって活性化エネルギーが異なることが分かりました。
 図3に市販のポリメタクリル酸メチル(PMMA)とポリスチレン(PSt)のガラス転移温度と活性化エネルギーの関係を示します。ガラス転移温度と活性化エネルギーは相関性が見られますが、その挙動はPMMAとPStで大きく異なることが分かりました。

 

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