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技術資料
No.T1826 | 2018.08.17

高磁場NMRによる高分子材料(ポリエチレン)の分岐構造解析

概要

核磁気共鳴(NMR)装置では、13C NMRにより高分子材料の分岐・配列・末端等の解析が行えます。弊社に導入した700MHz NMR装置は大口径10mmプローブを備え、既設の500MHz NMR装置(5mmプローブ)に比べより微量な成分の検出が可能となります。また、-130℃~150℃までの幅広い温度範囲に対応しており、ポリエチレンやポリプロピレン等の高温でしか溶解しないポリオレフィンの溶液NMR測定が可能です。その他、溶解可能なポリマーの測定も行えます。
本技術資料では700MHz NMRによる測定事例として、ポリエチレンの分岐構造解析を紹介します。

分析事例の紹介

ポリエチレン物性へ影響する因子の一つに、分岐構造があります。13C NMRでは、分岐した側鎖の炭素数(1、2、4個及び6個以上)により異なる化学シフトにピークが検出されるため、分岐構造の定性・定量が可能です。
700MHz NMR(10mmプローブ)によるポリエチレンの13C NMRスペクトルを図1に示します。分岐数の異なるピークが複数観測されました1,2)

図1ポリエチレンの13C NMRスペクトル
(700MHz、測定温度:130℃、逆ゲーテッドデカップリング)

また、分岐構造の量を主鎖メチレン炭素1000個当たりの分岐数として算出することができます。本装置を用いることで従来装置に比べ感度が向上し、0.3/1000Cの微量成分が観測されました。

参考文献
1) W. Liu et al., Macromolecules, 1999, 32, 3817.
2) M. DE Pooter et al., J. Appl. Polym. Sci., 1991, 42, 399.

適用分野
高分子材料(プラスチック)
キーワード
13C NMR、高磁場NMR、組成分析、微量分析

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