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技術資料
No.T1910 | 2019.11.27

2D-HPLC法による共重合体の組成分布解析(2)

~スチレン-ブタジエン共重合体(SBR)①~

概要

 HPLC法は各種有機化合物やポリマーの分離分析に不可欠な手法です。このうち、2つの異なる分離モードを用いて試料の分離を行う2D-HPLC(2次元HPLC)法は、特に共重合体の組成分布分析に有効な手法となっています。
 本資料では、2D-HPLC法を用いてスチレン-ブタジエン共重合体(SBR)の組成分布分析を行った結果について紹介致します。

分析事例

 SBRは、耐熱性、耐摩耗性、耐老化性、機械強度等に優れており、自動車用タイヤ材料として用いられるなど、最も生産量の多い合成ゴムです。
 SBRの重合方法は、溶液重合(S-SBR)と乳化重合(E-SBR)が用いられています。今回は、S-SBRとE-SBRについて、2D-HPLCによる組成分布分析を行った結果について紹介します。
 用いたSBRの平均分子量と平均スチレン含有量を表1に示します。今回の分析では、1次元目に組成分離を目的としたGPEC(Gradient Polymer Elution Chromatography)、2次元目に分子量分離を目的としたGPCを用いました。得られた結果を図1~2に示します。

Mw

(×10

Mw/Mn

スチレン

含有量(wt%)

備考

S-SBR

48

1.7

20.0

溶液重合

E-SBR

27

2.9

22.8

乳化重合

【表1】分析に用いたSBR試料

【図1】S-SBRの2D-HPLC分析結果
S303_Graph3-3
【図2】E-SBRの2D-HPLC分析結果

 

 これらの図では、横軸は分子量の対数値、縦軸はスチレン含有量を示します。また、グラフ右横のカラーバーは、検出器(蒸発型光散乱検出器;ELSD)の出力強度(mV)と色との関係を示しています。
 S-SBRは、低分子量側と高分子量側に、分子量分布が狭い2つの成分が存在しています。これらの2つの楕円がほぼ垂直であることから、各分子量における平均組成が均一であることが示唆されます。
 一方、E-SBRは分子量分布(横軸方向の広がり)、組成分布(縦軸方向の広がり)がS-SBRと比較して広く、また、等高線がやや左側に傾いて見えることから、低分子量ほどスチレン含有量が高い傾向であると考えられます。
 以上のように、2D-HPLC法を用いることにより、試料間の分子量分布、組成分布の違いを視覚的に比較することができます。

適用分野
HPLC、GPC、SEC
キーワード
高分子、ポリマー、共重合体、SBR、ゴム

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