概要
スチレン―イソプレン―スチレンブロック共重合体(SIS)はスチレン(St)とイソプレン(IR)の共重合体であり、St/IR比、IRの異性体組成(シス/トランス/ビニル)及びその配列が物性に影響を与えます。本技術資料では、700MHz NMRを用いた13C-NMR測定による、IR部分の異性体組成及び配列解析事例をご紹介します。
分析方法・分析装置
- 分析方法:1次元 13C-NMR
- 分析装置:700MHz NMR
試料
スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)
結果
SISのゴム弾性や制振性といった物性は、IR部分のミクロ構造(シス、トランス、ビニル)と相関することが知られています【図1】1,2)。700MHz NMR(10mmプローブ)を用いたSISの13C-NMR測定により、IR部分の構造解析が可能です【図2】。ここでは単独ピークとして観測されるモノマー、及びモノマー2連鎖の一部のみ帰属を示しています3)。
今回用いた試料のモノマー組成解析を実施した結果を示します【図3】。本結果より、St/IR比が11:89であり、IRの異性体組成はシス体が最も多いことが分かりました。また、モノマー連鎖分布の解析が可能であり、ゴム弾性や制振性といった物性発現との関係性を明らかにできると期待されます【図4】。
まとめ
700MHz NMRを用いた13C-NMR測定により、SISの組成及びモノマー2連鎖分布の解析が可能です。ゴム弾性や制振性等の諸物性との相関評価が期待されます。
参照文献
- 1) 桑原 豊、石川 克広、小谷 悌三 日本ゴム協会誌 45, 701-708 (1972).
- 2) 石井正雄 日本ゴム協会誌 70, 707-714 (1997).
- 3) V.A. Rozentsvet et al., Polymer Science, Ser. A. 51, 870-876 (2009).
適用分野
NMR、分子構造解析、高分子材料
キーワード
スチレン-イソプレン-スチレン共重合体、SIS、モノマー組成、連鎖分布、13C NMR、700MHz NMR