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技術資料
No.T2432 | 2025.02.21

高温XRDによるセラミックスの熱膨張評価

概要

 X線回折(XRD)は、試料の結晶状態を調べることができる手法です。X線回折装置に試料を加熱する高温アタッチメント(~1200℃)を取り付け、試料を加熱しながら測定する高温XRDでは、結晶構造の相転移、物質の融解、熱膨張などを詳細に測定できます【図1】。測定時の雰囲気として、真空、乾燥空気、大気、N2He等の不活性ガスに対応しております。

分析方法・分析装置

  格子定数の温度変化から熱膨張係数を算出するため、アルミナの高温XRD測定を実施しました。

測定条件

・XRD装置

Rigaku SmartLab

・高温アタッチメント

Anton Paar HTK 1200N

・X線出力

45kV,200mA(Cuターゲット)

・測定法

集中法

・2θ範囲

20-80deg.

・スキャン速度

7deg./min

・スキャンモード

1D

・測定温度

30℃~1000

【図1】高温アタッチメント付属のXRD装置

【図1】高温アタッチメント付属のXRD装置

結果

 各測定温度で得られた回折パターンを【図2】に示します。これらの回折パターンをリートベルト解析することで、アルミナの格子定数を算出し【図3】、測定温度との関係を【図4】にまとめました。各軸の近似式の傾きから熱膨張係数を求めた結果、a軸は8.0×10-61/K]、c軸は8.9×10-61/K] と見積もられました。
 このように、高温XRDから熱膨張係数の軸異方性の評価が可能です。

【図2】各測定温度で得られた回折パターン

【図2】各測定温度で得られた回折パターン

【図3】 リートベルト解析結果(アルミナ30℃)

【図3】 リートベルト解析結果(アルミナ30℃)

【図4】格子定数変化と熱膨張係数の算出

【図4】格子定数変化と熱膨張係数の算出

 * K. Momma and F. Izumi, J. Appl. Crystallogr. , 44 , 1272-1276 (2011).

適用分野
セラミックス、ゼオライト、電池・半導体材料、その他無機製品等
キーワード
高温XRD、in situ測定、リートベルト解析、格子定数、熱膨張係数、相転移、融解

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