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技術資料
No.T1827 | 2018.09.01

高感度ガス透過試験装置による評価 拡散係数

概要

ガス透過性はフィルムの重要な特性の一つである。本技術資料では、拡散係数、溶解度係数について紹介する。
ガスは、①フィルム表面への吸着、②フィルムへの溶解、③フィルム中への拡散を経て、フィルム中を透過する(図1)。これらのステップの内、②③が透過性に大きな影響を与え、ガス透過係数は式(1)で表される。
この式からも明らかなように、拡散係数または溶解度係数のいずれかが変化しても、ガス透過係数は影響を受ける。この事より、ガス透過係数を制御するためには、拡散係数および溶解度係数がどの様に変化しているのか把握することが重要だと考えられる。
拡散係数は、一般的にタイムラグ法により評価される(図2及び式(2))。本技術資料では、非晶性高分子であるポリスチレンの酸素ガス透過性が温度により変化する様子を高感度ガス透過試験装置Deltaparmにて評価した事例を紹介する。

分析事例の紹介

非晶性高分子のポリスチレンの酸素ガス透過性をDeltaparm(Texnolox社製)を用いて評価した。
試料はプレス成形にて調製し、測定温度を23、40、60、80℃と変え、温度依存性を評価した。評価はガス透過係数、拡散係数を評価し、式(1)を用いて溶解度係数を求めた。結果を図3、4、5にまとめた。

【図3】酸素透過係数の温度依存性
【図4】酸素拡散係数の温度依存性
【図5】酸素溶解度係数の温度依存性

温度の上昇に伴い、ガス透過係数が増加しているが、この増加は、拡散係数が増加したことによるものであることが図4、図5から分かる。
このような解析を行う事により、ガス透過係数に影響を及ぼす各種因子について、より詳細な検討をおこなう事が出来る。

適用分野
フィルム、シート、基板
キーワード
樹脂、バリア性、透過度、透過係数、拡散係数、溶解度係数、温度依存性

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