概要
マイクロプラスチック(以下MPと記す)とは、5mm以下のプラスチックと定義されており、プラスチック製品の破片、化学繊維、レジンペレット、マイクロビーズ、スポンジなどが起源とされています。MPによる海洋汚染は食物連鎖により生態系全体に広がっていることが懸念されており、ヒトへの有害性について関心が高まっています。そこで、弊社では種々の方法でMPの分析を試みています。
MPの分析方法は、必要な情報によりFTIR、ラマン、熱分解GC/MS、DSCなど色々な手法が提案されています。今回はMPのモデルサンプルを用いて、イメージングFTIRにより得られた結果からケミカルイメージを作成し、粒径解析を行った結果をご紹介します。
分析
モデルサンプルとして市販されている5種類の樹脂(PE、PP、PS、PET、PVC)を冷凍粉砕し、溶媒中で混合分散後、フィルター(PTFE)ろ過処理したものを使用しました。
<分析装置>
イメージングFTIR装置 FT/IR-6600+IRT-7200 (日本分光(株)製)
測定結果
図1に各樹脂の代表的なIRスペクトルを示します。また、評価に用いたピークを矢印で示します。
各樹脂に特徴的なピーク(図1)を用い、ケミカルイメージを作成した結果を図2(b)に示します。光学顕微鏡像とケミカルイメージの粒子形状はほぼ一致しており、各粒子の成分を明らかにすることができました。 なお、図2(b)では粒径20μm以下の粒子はカットしています。
粒径解析*) の1例として粒子サイズごとの成分別積み上げヒストグラムを図3に示します。粒径解析ではケミカルイメージで検出された粒子ごとにサイズ、面積、周囲長、円形度、フェレ径、縦横比などのデータを取得し、各成分の粒径分布の他、形状の特徴を把握することすることが可能と考えられます。
*)日本分光(株)製のソフトを使用
主な応用分野:マイクロプラスチックの組成分析、粒径解析