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技術資料
No.T2115 | 2021.09.13

高磁場NMRによる高分子材料(ポリプロピレン)の 立体規則性解析

概要

核磁気共鳴(NMR)装置では、13C NMRにより高分子材料の分岐・配列・末端・立体規則性等の解析を行うことができます。弊社に導入した700MHz NMR装置(溶液プローブ)は、-130℃~150℃までの幅広い温度範囲に対応しており、ポリエチレンやポリプロピレン等、高温でしか溶解しないポリオレフィンの溶液NMR測定が可能です。
高分子材料の立体規則性は、耐熱性や機械的強度等の物性に大きく影響する因子の1つです。本技術資料では、700MHz NMRによるポリプロピレンの立体規則性(メソペンタッド分率)の解析事例をご紹介します。

分析方法・分析装置

  • 分析方法:1次元 13C-NMR
  • 分析装置:700MHz NMR (比較:500MHz NMR)

試料

ポリプロピレン(PP)

結果

ポリプロピレンの13C NMRスペクトル【図1】とメソペンタッド分率(mmmm)の算出結果【表1】を示します。700MHz NMR(10mmプローブ)ではピークがより明瞭に観測され、既設の500MHz NMR装置(5mmプローブ)に比べ、より微量な成分の検出と高確度なメソペンタッド分率の評価が可能となりました。

【図1】 ポリプロピレンの13C NMRスペクトル
(700MHz・500MHz同条件で測定、同S/N比、測定温度:130℃、逆ゲーテッドデカップリング)
【表1】 立体規則性の評価

試料

メソペンタッド分率 [%]

ポリプロピレン

80.9

まとめ

700MHz NMRを用いることで、高確度にポリプロピレンの立体規則性(メソペンタッド分率)を評価することが可能です。立体規則性は結晶性や分子運動性と密接に関係し、高分子材料の物性に影響を与えます。立体規則性の解析結果は、物性との相関解析や、製品の品質検査等に役立てることができます。

 

参照文献

  • 1) Vincenzo Busico et al., Macromolecules 27, 4521-4524 (1994).
  • 2) 日本分析化学会 高分子分析研究懇談会編 『新版 高分子分析ハンドブック』 紀伊國屋書店 (1995).
適用分野
NMR、分子構造解析、高分子材料
キーワード
ポリプロピレン、ポリオレフィン、PP、立体規則性、メソペンタッド分率、700MHz NMR

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